私自身は、過保護な父親と過干渉な母親に育てられ、幼少時代から親の決めたレールを歩くように強いられてきた。
結果的に、自分では何も決められない大人になり、いつしか「自分には価値がない」と思うようになった。
図書館でみつけた、根本橘夫 著『「自分には価値がない」の心理学』は、そんな「無価値感」を抱きながら生きている人に生きやすくなるヒントを与えてくれる本。
スピとか生ぬるい感情論ではなく、きちんと納得した上でアダルトチルドレン克服をしたいと思っている人におすすめです。
この記事で詳しくご紹介します。
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【おおまかな内容】
作者の根本氏は、自身も不遇な幼少時代を過ごし、無価値感を抱きながらも心理学者となった人。
だからか、言葉の端々に優しさがこもっていて、寄り添ってくれるような雰囲気が漂う。
以下のような10章から構成されていて、
第1章 なぜ、生きるのがつらいのか
第2章 無価値観に翻弄される人
第3章 あなたに無価値観をもたらすもの
第4章 無価値観を乗り越える視点
第5章 自分のなかの「子ども」に別れを告げる
第6章 人生設計という魔法の杖
第7章 仕事で本当の自信をつけるには
第8章 人を大切にすると幸せになる
第9章 楽しむことに罪悪感を抱く人へ
第10章 自分をもっと信頼してあげる
1章のボリュームは多すぎず、少なすぎず、テンポよく読み進めていける。
心理学の専門的な知識も交えながら生きづらさの原因を解説し、楽しい毎日をつくるための思考のトレーニング方法を丁寧に教えてくれます。
すぐには難しくても、書いてあることをあきらめずに実行すれば、自分の価値を感じられる日がくるかもしれません。
【印象的だった文章】
特に印象的だった文章をいくつかご紹介します。
基底的自己価値感は、乳幼児期から形成され、児童期中頃には確立してしまうと考えられている。その形成条件は、一言でいえば、愛情豊かで適切な養育環境である。
根本橘夫 著『「自分には価値がない」の心理学』p.29
乳幼児期の親の言動が、いかに子供の人生に影響するかということを表している。
時間を巻き戻すことができるはずもなく、自己価値感が持てなければ自分で見出していくしかないと思わされる。
典型化して言えば、過保護は「お前は無力だ」と言う暗黙のメッセージを送り、過干渉は「お前のままでは駄目だ」と言うメッセージを送る。
根本橘夫 著『「自分には価値がない」の心理学』p.73
過保護・過干渉な親は、子どもを支配している自分の力への満足感や、子を導いているという自己高揚感を得ることで、自分を支えていることが多い、とも書かれている。
そういう親って、えてして他人からの評価は高いから、勘違いしてさらにエスカレートするんやろうな。
逆に、自分の外側をいくら飾り立てても、心底の無価値感から免れることはできない。自分を成長させ、幸福な人生を築こうとする誠実な努力を積み重ねるうちに、しっかりとした自己価値感が形成されるのである。
根本橘夫 著『「自分には価値がない」の心理学』p.100
「成功さえすれば」
「肩書きさえあれば」
私自身、そう思ってもがいてきたけど、必要なのは内面の努力だってこと。
親に与えてもらえなかった自己価値は自分で作らなくちゃいけないなんて、親を責めたくもなるけど、責めたって状況は変わらないもんね。
がんばろー。。
罪悪感の起源は、善悪と言う道徳的判断によるものではない。親の期待に応えられないとか、親の機嫌を損なうとか、親との関係によって作られる。だから、罪悪感の背後には、親に否認されることへの恐怖心がある。
根本橘夫 著『「自分には価値がない」の心理学』p.119
親が「いい子」とするのは、いちいち許可をとったり、迷惑をかけないようにしたり、期待にこたえたりする子で、その心理には罪悪感の意識があるという。
私で言うと、たとえば休日に昼寝をしただけで怠けた気になるとか、自分のために洋服を買うことをためらってしまうとか、すぐ「すみません」って謝っちゃうとか。
だから、何かモヤっとした感覚がある時に、その背景にある罪悪感に気づくことが大事。
「おお、いかんいかん…つい昔のくせが…」
って感じで、気持ちを切り替えられたらいいよね。
自分が陥りがちな否定的思考を自覚して、合理的思考をすることを積み重ねることで、否定的思考傾向を抜け出すことができるし、自分の気持ちを快適に保つことができる。
根本橘夫 著『「自分には価値がない」の心理学』p.257
また、アスリートが練習を積み重ねるのと同じように、心も小さな成功体験を積み重ねていくことが大切だと書いてあり、「行動しなければ、永遠に、何事も達成されることはない。」という言葉で、この本は締めくくられています。
自己価値を与えられるのは、自分しかいないってことですね。
【読んでよかったと思ったこと】
最後のほうに書いてあった、著者の生い立ちを読んで涙が出ました。
それでも、地道な努力で乗り越えていけるんだ、と、エールを送ってもらったような気がします。
すごく現実的な内容で、実際の生活に役立つ1冊です。